本体解体でも維持論強く
社会保険庁が保有する63の社会保険病院や厚生年金病院の存発問題が混迷している。
病院の設立原資は医療・年金保険料。「保険料の無駄使い」批判を受け、整理合理化計画を昨年度までに作ることになっていた。しかし年金記録問題の対応に追われているうち、地域医療の崩壊を危惧した存続論も高まってきた。社保庁解体が迫るが、受け皿は決まっていない。
「
もし社会保険病院がなくなったら、ほかに代わる病院は市内にはない」
三島社会保険病院は1日に250〜350人の外来患者が訪れ、150人前後の患者が入院する静岡県三島市で最大の中核病院。
「今の経営状態でいけば、市民に適切な医療を提供できる自信はある。だが、私たちはまな板の上のコイ」。
病院関係者はどのような形で病院が残るのか危機感を隠さない。
自民・公明両党は整理合理化計画を2005〜2006年度に策定することで合意している。
社保庁職員が有名人の年金記録をのぞき見したり、赤字の保養所やマッサージ器などへの保険料の流用が明るみに出たりしたことで、傘下の病院も見直しの対象となった。
当初は赤字病院を中心に廃止を含めて検討していく方針だった。しかし医師不足問題を受けて「地域住民が医療を受けられなくなる」との声が与党内に広がり、大半の病院を存続させる方向に傾いている。
だが計画のめどは立っていない。自民党の厚労族議員は「存続をという声と、与党合意をほごにするのかという声の二つが平行線をたどっている」とため息をつく。
年金記録問題で批判の矢面に立っている社保庁は「行政が判断できるレベルではない」と当事者意識を失っている。
期限は迫る。社保庁解体の第一弾として、今年10月に医療部門は「全国健康保険協会」として切り離される。この時点で国の機関ではなくなり、社保病院と厚生年金病院を持つことはできなくなる。
政府・与党内に浮上しているのは、医療・年金保険料でつくった保養所などを処分する独立行政法人の年金・健康保険福祉設備整理機構(RFO)へ現物出資する案だ。開業を続け、最終処分も先送りする。
だがRFOも10年には解散することが決まっている。
社保庁の63病院のうち、赤字病院は21('06年度)。厚生年金病院は'04年度から、社保病院は'05年度から、保険料から施設整備費が出ないことになった。国有資産のため固定資産税がかからないなど税制上の優遇策があり、何とか存続している。
しかし国の手を離れ優遇措置がなくなると、赤字に陥る病院が増える可能性もある。自治体は財政が厳しく、民間医療機関も引き受けてくれるか不透明。保養所と違い地域住民の生命にかかわるだけに整理計画の策定は簡単ではなく、中に浮いた形になっている。
2008年02月26日 厚生労働省