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医師不足、深刻でも・・・受験戦争なお厳しく

メディカルタイムズ

医師不足、深刻でも・・・受験戦争なお厳しく

大学医学部の受験勢力図が変わりつつある。医師不足や激務が伝えられても医学部人気は高止まりが続き、かつての「名門」以外までも狭き門に。背景には人気アップのため、難問化する医師国家試験への対応にしのぎを削る競争もある。戦国時代の様相だが、学力別クラス編成や予備校のビデオ教材の購入など“国家試験予備校化”も進み「良い医師の育成につながるのか」との懸念も出ている。

激務覚悟で志望
「景気復調で薬学など実学系学部が人気を落としても医学部は成績最上位だけが目指す最難関のまま」(河合塾麹町校の高野英悟校舎長)
医療崩壊や激務が報道される中、社会的使命を感じてか「学生は厳しさ覚悟で志望している」といい、受験生の間で不動の人気を保つ。

下位校も「狭き門」
全国80大学が医学部を持つ。60〜100人で据え置かれていた定員は、医師不足が深刻化し、来年度から順次、全国で最大395人の増員が認められた。大学全入時代の定員増だが、高止まりの人気が年々狭き門にしている。

影響は「下位校の底上げ」という形で現れた。予備校模試での合否ラインの偏差値が20年前まで40台だった大学も現在は60台後半に上昇。一部が「学費さえ払えれば誰でも入学できる」とささやかれたのは過去の話。高野校舎長は「格を気にするのは成績トップ層か親が医師の受験生ぐらい」。旧帝大や名門私大が“傘下”の地方大に人材を派遣し築いた序列まで地殻変動にさらされている。

医師国家試験を巡っても変動が起きている。最近5年間の平均合格率を大学別に比較すると、上位10校に旧帝大はゼロ。1970年代に開校した「新設」が山形大など3校入る一方、北海道、九州、東北、京都の旧帝大4校は全体平均を下回った。京大医学教育推進センターの平出敦教授は「既卒者の不合格の多さが低迷の原因」と質の低下を否定するが、
「問題視しており、対策を検討中」と合格率アップの必要性を認める。

試験は2001年から問題が500問に倍増し、期間も2日間から3日間に変更。絶対評価から相対評価になり、1.000人弱が必ず落ちる構図に。

国家試験予備校「メック」(東京・千代田区)の塩沢昌英講師は「競争が激化し、学生の負担は増大した」と強調する。
「合格率が人気やブランドに直結する」(私大幹部)といわれる中、大学は受験予備校顔負けの対策に追われる。今年度、メックの講義を収録したDVD教材を契約した大学は73大学(学生有志や同窓会等も含む)に上る。

大学が「予備校化」
72年設置の新設私大、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)は、夏冬2回の卒業試験直前に3年分の問題を冊子で無料配布。冬は出題範囲、形式とも国家試験に準拠し、回答と解説もつけた。6年生は午後は自習時間。学生が借りた予備校のDVD教材を教室で放映することもあり、教材費は保護者会が補助する。

「最近は暗記だけでは解けない問題が増えた」と医学教育企画室の松井俊和教授。実践力をつけさせようと臨床実習を充実させたが「国家試験に対応しきれない」とジレンマを打ち明ける。

兵庫医大(兵庫県西宮市)は6年生を成績に応じ3クラスに分類。合格が危ういクラスは週1回の補習や夏合宿、模擬試験を課し「勉強の仕方から教える」(鈴木敬一郎医学教育センター長)。
「『何もそこまで』という批判はある」が、医師供給という社会的責務を果たすには「学生への支援は必要」と強調。合格率向上のために成績不振の6年生を3割以上留年させる大学もあるという。鈴木センター長は「我々は1割程度に抑えている」と努力を訴える。

国立大学も例外ではない。三重大(津市)は24時間使える自習室を学生や卒業生に開放。重圧を抱え精神的に落ち込む学生には精神科を紹介する。中井圭司医学・看護学教育センター講師は「合格率が高い大学が良い大学ではないが、不合格や留年が多ければ患者や市民の目も厳しい」と明かし「患者に寄り添える実践的な良医の育成も求められ、試験対策も必要。両立は難題だ」と苦悩している。

低学費ほど難関傾向に
学費もランクを左右する重要な要素。大学進学予備校各社のまとめでは、私立医大の6年間の学費は総額4.920万円の帝京大が最高額。私大で最も安い慶応大(約2.050万円)の14倍で「6年間で家が一軒建つ」といわれる。
「授業料が安いほど人気が上がり、受験生の水準も高くなる」(駿台予備校)という傾向も。優秀な学生を集めようと東京慈恵会医大(東京・港)や順天堂大(東京・文京)が近年、学費値下げに踏み切った。つくばエクスプレス開業で都心へのアクセスが向上した筑波大も「首都近郊に進学したい受験生の人気を集めている」(駿台)と負担軽減が追い風に。国家試験予備校の負担が重くなるケースも。メックの佐野倫代社長は「出題範囲は30年前の2〜3倍とされ、予備校の利用は特別でない」。
学費は年間約200万円という。

医師国家試験
医師に必要な知識・技能を試す医師法に基づく試験。試験は年1回で合格率は9割、毎年約7.500人が合格する。人名にかかわる重大な誤答が2つ以上あると、点数にかかわらず不合格とする制度もある。
合格者に占める女性の割合は1991年に19.2%だったが年々増加。2000年に3割を突破し、07年まで8年連続で3割を超えた。免許取得後は2年間、内科や外科など多くの科で臨床研修を受ける。医師免許に更新制度はない。


資料



2008年02月25日 厚生労働省


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